生命と自己

生命と自己

生命(いのち) と私(自己)

 

私たちの身体は、

絶え間なく分解と合成が繰り返され、

恒常性が維持されています。

 

恒常性を維持するシステム

それが生命(いのち)です。

 

瞬間、瞬間、変化し続ける私たちの生命(いのち)には、

今という瞬間しか存在しません。

 

しかし私たちは、

過去の出来事に対する感情を引きずり、

まだ起きてもない未来の事に不安を抱きながら、

日々を過ごしています。

 

私という固定された自己は、

本当に存在しているのでしょうか?

 

私たちが生まれた時は、

自己という意識は存在しません。

 

私たちは生命(いのち)を維持するために、

体内あるいは体外から常に情報を集めて、

恒常性の範囲から外れないようにしています。

 

つまり内臓や感覚器から得られた知覚情報をまとめて、

身体内部の状態をモニターして、

イメージとして把握をしています。

 

それが私たちの脳の働きです。

 

内臓が生み出す筋肉の動き(欲求)が情動となり、

それが心となって現われます。

 

心は脳にあるのではなく、

心は内臓に宿ります。

 

脳はただその情報を知覚しているだけです。

 

さらに複雑になった知覚を統御するために、

神経細胞のネットワークにおいて変化しないように、

感覚の固定化を行うようになりました。

 

それが記憶であり、自己意識の本質となります。

 

記憶のなかの自己の状態や刺激を思い出すことで、

かつての状態の自己と、

それを思い出している自己との連続性が生まれます。

 

過去から今という時間軸が生まれ、

そして自分という自伝的なストーリーが生みだされていきます。

 

こうして私たちの心に、私(自己)がやってきました。

 

過去の経験から、未来へのより効率的な生存を選択するために、

恒常性維持という生命(いのち)の本質から生まれた調整システムです。

 

それが 私=自己 という意識を強くし、

私という性格(思考パターンや行動パターン)をつくりだしました。

 

内部世界と外部世界のイメージは、

私(自己)を中心として形成されるようになり、

起きてくる現象に様々な意味づけを行い、

恒常性を維持しようとします。

 

しかし肉体のリモデリングに関わる、

呼吸や食べ物の消化吸収、血液の循環などの生命活動は、

無意識の状態で行われています。

 

そこに私(自己)という意識は必要ありません。

 

私たちの生命(いのち)は、

常につながりの中に存在しています。

 

 

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