コラム「スローエイジングの秘訣」
『スローエイジングの秘訣』
私たちは人生のだいたい3分の1の時間を睡眠に使っている。
体を横にすることで、「重力」から少しでも逃れようとしているのではないかと思ったりするのだ。
目覚めてから起き上がろうとする時、体が重くてだるいと感じることが、年を重ねるたびに増えてくるのではないだろうか。
筋肉が硬くこわばり、動きにくくなるからだと思ったりしていたが、どうもそうではない事に気が付いた。
体が「重力」に負けて、捉えられてしまっているのだ。
どうやら「重力」と「エイジング」には、大きな関係性があるようなのだ。
私たちの多くは、あまり「重力ストレス」を意識して生きてはいない。
今日はなんだか「重力」がキツイと、思ったりしないものだ。
「重力」に拮抗する構造モデルとして、テンセグリティーというものがある。
私たちの体の構造はそれに似た特性を持っており、「張力」を使って「重力」に拮抗するようになっている。
細胞や組織のまわりの空間には、「張力」を伝えるネットワークが張りめぐらされ、1つ1つの細胞骨格にまで力が波及するのだ。
私たちが生きるということは、「重力」に抗い続けることかもしれない。
「重力」に少しずつ負けて捉えられていく存在なのではないかと思ったりする。
そこに私たちの有限の命があるような気がするのだ。
重力に捉えられると、私たちは時間のスピードを速く感じるようになるのかもしれない。
歳を重ねるごとに、1年が過ぎるのが早く感じるようになったりする。
どうも「重力」と「時間」にも、大きな関係性があるようなのだ。
体を動かすときに、頑張って「筋力」を使って動くのと、「張力」のネットワークの力で動くのでは、力学的に大きな差が生まれてくる。
「張力」を使うコツは、体の力を抜くことなのだから面白いと思う。
軽やかに生きる人の多くは、無意識に「筋力」ではなく「張力」を使って動いているのだろう。