コラム「薬の多面性」
『薬の多面性』
薬には「主作用」と「副作用」という2つの側面があると言われている。
「主作用」は目的の効果を発揮するための作用を指し、「副作用」は目的以外の不利益となる作用を指すと言われたりもする。
効果を最大にし副作用を最小にするために、用量や用法など適正使用が定められているが、常にベネフィットとリスクの二面性を持っているのだ。
薬の効果は、薬の有効成分の化学作用によるものだけではない。
どうやら私たちが薬を飲んで効果を感じるのは、薬理作用以外の要因も絡んでいるようだ。
薬の有効性には、薬理作用だけでなく自然治癒力・プラセボ効果・ホーソン効果などが影響を与えているのだ。
病気の種類によっては、薬理作用の影響が非常に小さいものさえ存在するのではないだろうかと思う。
薬の副作用は、主作用とは別に存在する、何か非常に怖いものだと認識されたりすることが多い。
薬の反応によってでた症状を、あなたにとって有益か有害かで分類しているだけなのかもしれないと思う。
薬の主作用と副作用は実は同じものだったりすることも多いのだ。
あなたにとって都合がよいものが効果(作用)であり、あなたにとって都合が悪いものが有害事象(副作用)となっているのだ。
また薬には、「効果や副作用という化学物質の側面」以外にも、「利益を生み出す商品」という側面がある。
医薬品開発は大きなビジネスになるのだ。
いかに市場の大きい商品を生み出すかが、重要なポイントになってしまうのではないだろうか。
飲んで治してしまう薬より、ずっと飲み続ける薬を開発した方が、利益を生み出すのかもしれない。
病気の人が飲む薬より、健康な人に予防的に飲ませる薬の方が、より利益を生み出すのかもしれない。
経済性の要素が強く入ってくると、薬は効果・副作用の二面性では判断しきれないと、私は思う。
物事には二面性があると言われるが、裏を見るだけでは正しい判断などできないのではないだろうか。
もっと多面的に捉えた時に、「科学」と「経済」という二面性が見えてくるのではないだろうかと思う。