飲みたくない薬 有効性に与える影響

飲みたくない薬 有効性に与える影響

飲みたくない薬 有効性に与える影響

【この記事のまとめ】
「本当は薬を飲みたくないけど、でも飲まないといけない」そのような気持ちで、薬を飲み続けている人も多いのではないでしょうか?

薬をいやいや飲み続けることは、あなたにとってのベネフィットとなるのでしょうか?

薬の効き方(有効性)に影響を与える要因について解説いたします。

薬理作用・自然治癒力・プラセボ効果・ホーソン効果、それらすべてが効果となっているのです。

 

できれば薬に頼りたくない。飲み続けると副作用が心配。医療費がかかって負担が増えるなど。

薬を飲みたくない心理にもいろいろあると思います。

 

でも薬を飲まないと症状がつらくて大変。本当は飲みたくないけど、しかたがないから飲んでいる。

そういうあなたは、薬の効き方(有効性)というものをもっと理解する必要があります。

 

まずは薬の有効性について、正しく理解することから始めてください。

自分にとって何がベネフィットとなるのか?そういう選択を自分でできるようになりましょう。

 

いやいや飲んでも薬は効くのか?

飲みたくない薬 有効性に与える影響

 

薬の効き目は、薬の成分の薬理作用で決まるんじゃないの?そんなの当たり前じゃないの?と思った方は、正しくもあり、また間違いでもあります。

薬には薬理作用があります。しかし、あなたが飲んで効果を感じるのは、単純にその作用によるものではありません。

 

薬の効き方(有効性) = 薬理作用 + 自然治癒力 + プラセボ効果 + ホーソン効果

 

薬の有効性に影響を与える要因は、薬理作用以外にもあります。

病気の種類によって、それぞれの影響の大きさが違ってきます。

薬の効き方に個人差が大きくでるのは、このように複数の要因が絡んでいるからです。

 

自然治癒力

慢性的な疾患より、急性的な疾患の方が影響が大きいです。

風邪をひいて薬を飲んだり、胃の調子が悪くて薬を飲んだ場合、薬の作用で症状を抑えている間に自然治癒力が働いて治ったというのが正しい理解になります。

つまり薬を飲んでも飲まなくても、症状が治った可能性が高いというわけです。

 

自然治癒力とは何か?については、関連記事をご参照ください ↓

「なぜ治らないのか?」自然治癒力の働きとは何か?

 

プラセボ効果(プラシーボ効果

心理的な効果、暗示による影響です。

本来は薬効がない成分である偽薬(プラセボ)を飲んだ人でも、本物の薬と思い込むことによって効果を示します。

つまり薬を飲んだ安心感や期待感により、症状が改善しているというわけです。

 

※プラセボ効果はプラスに作用するだけでなく、マイナスに作用する場合もあります

マイナスに働く場合には、ノセボ効果(ノーシーボ効果)といわれます。

この薬は副作用がでやすいと思って飲むと、副作用が増強されます。

実際の臨床試験ではプラセボ(偽薬)を飲んでも、有害事象(副作用)はたくさん認められます。

効かない薬と思って飲むと、効果が弱くなってしまいます。

 

プラセボ効果とノセボ効果については、関連記事をご参照ください ↓

「プラセボ効果とノセボ効果」神経心理学

ホーソン効果

期待に応えたい。あるいは人によく見られたいという気持ちが働いてしまうことです。

行動の変化を起こして、症状がよくなったりします(行動変容が起こる)

意識的あるいは無意識的によく見られたい心理によって、症状の改善があったかのように振る舞ってしまいます。

薬を飲みながら、食事にも気を付けるようになって、症状が改善した場合(行動変容)

病院で検査を受ける前だけ、食事を控えたりアルコールを控えたりして、ちょっとでも良い結果をだそうとする心理。

 

薬が承認される臨床試験では、当然これらの要因の影響がわかっているので、プラセボ(偽薬)対照の二重盲検試験が行われています。

 

プラセボが効く病気と効かない病気

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臨床試験では、プラセボ群との有効性に統計的な有意差が認められれば、治験薬の薬理作用があると判断されます。

例えば臨床試験で、治験薬Aは35%の有効性、治験薬Bは45%の有効性を示しました。

プラセボ(偽薬)群の有効性が高いAタイプの病気、プラセボ群の有効性が低いBタイプの病気があります。

 

Aタイプのような病気は、薬理作用以外の要因である、自然治癒力・プラセボ効果・ホーソン効果の影響が大きく、心理的安定や生活習慣の行動変容を促すことで、症状が改善する可能性が高いといえます。

Aタイプの治療薬は、飲みたくないと思って嫌々飲み続けることは、あまりお勧めできません。

生活習慣や気持ちの持ち方を変化させることで、薬に頼らなくても症状を改善できる可能性が高いからです。

 

Bタイプのような病気は、薬理作用による要因が大きいと言えます。もし薬を飲むことを止めてしまった場合には、代替エンドポイントとしての数値の悪化が見られる可能性が高いです。

薬を飲むなら、本当の目的(真のエンドポント)を考え、ベネフィットをしっかり理解した上で、納得して飲みましょう。

 

臨床試験での有効性・安全性の考え方については、関連記事をご参照ください ↓

副作用と有害事象の関係 これは副作用じゃないの?

因果関係の判定は難しい

飲みたくない薬 有効性に与える影響

 

薬を飲んで症状が改善した場合に、薬の薬理作用との因果関係を判定することは、実は非常に難しいことです。

また薬を飲んで副作用がでたと思った場合でも、薬との因果関係を判定することは難しいことです。

100%全員に効く薬は存在しません。

薬をいやいや飲み続けることは、あなたにとってのベネフィットにならない場合が多いです。

薬の効果を正しく理解して、自分のベネフィットを考え、薬を飲むなら納得して飲みましょう。

生活習慣や気持ちの持ち方を変えることで、薬を飲まないという選択肢もあります。

また薬を飲む選択肢があることは、本当は非常に有難いということにも気付いてください。

 

薬の有効性を評価する場合、真のエンドポイントについて関連記事をご参照ください ↓

薬を飲まない理由 ベネフィットを自分で考えよう

まとめ

 

薬を飲みたくない気持ちにもいろいろあると思いますが、薬の効き方というものは、薬理作用によるものだけではありません。

薬を嫌々飲み続けることは、そのような点からお勧めできません。

薬の効果について正しく理解して、納得して服薬することが、あなたにとってのベネフィットとなります。

また薬の効果がベネフィットとならないと思う場合には、薬を飲まないという選択肢を選ぶことも可能です。

 

 

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