コラム「薬好きな国民性」
『薬好きな国民性』
日本人は薬好きな国民で、世界の約40%の薬を消費していると言われている。
ずっと薬を飲み続けることに慣れ過ぎてしまったせいかもしれない。
患者の中には医者から薬を減らされると、不安になってしまう人がいるから不思議なものだ。
治療した結果、薬を飲む必要がなくなることが当然ではないかと思ったりする。
生活習慣病という名の病気がつくられ、高血圧・糖尿病・高脂血症など検査値をコントロールする医療が行われるようになった。
本来、重篤な疾患を予防することが真の目的だが、検査値のコントロールに一喜一憂し過ぎているのではないだろうか。
統計学による平均値の確率論によって、因果関係があるかのように思ったりするのだろう。
私たちの体は単一要素だけでコントロールできるほど単純な仕組みではないのだ。
国民全員が健康保険でカバーされている日本では、医師は患者の負担のことであまり心が痛まなかったりする。
患者はせっかく健康保険があるのだから、とりあえず薬をもらっておかないと損だと思ったりする。
製薬会社はどうせ開発するなら、ずっと飲み続ける薬の方が利益を見込めると思ったりする。
どうやら日本人が薬好きというより、医療制度や教育のせいではないだろうかと思う。
私たちには自然治癒力という力が備わっているが、病気の症状が慢性化して治らない場合がたくさんある。
自然治癒力の働きが弱くなったことが原因なのだろうか。
傷が自然に治っていくのはわかるが、慢性疾患における自然治癒力の働きとはいったい何なのだろう。
私たち生命とは、物質が代謝・循環する過程でエネルギーを生み出することができる存在ではないかと思う。
物質が入れ替わりながら常にバランスがとられ、ある一定の状態を保ち続けている。
病気の症状というのは、私たちの体に何か異常が起こっているのだろうか。
私たちが今までと違う状態を病気の症状として認識しているだけかもしれない。
エネルギー代謝による物質循環が変化すると、私たちの平衡状態にも影響がでてくるのだ。
病気も治癒も健康も、動的に変化し続ける一連の流れの断片的状態でしかないのだろう。