ファシアの情報伝達と体液循環

ファシアの情報伝達と体液循環

ファシアの情報伝達と体液循環

【この記事のまとめ】
ファシアは、バイオテンセグリティ構造を有する張力ネットワークにより、機械的情報伝達を行っています。

また、ファシアのネットワークによる機械的情報は、メカノトランスダクションによって化学的情報にも変換されます

ファシアの主成分であるコラーゲンは、圧電性、つまり機械的ストレスに反応して電荷を発生する能力を有しています。

コラーゲンの機械的特性および圧電性に大きな影響を与えているのは、水和している液晶水(EZ水)です。

液晶は、形状変化を大きく取ることが容易に可能であり、フレキソエレクトリック効果による電気分極が顕著に現れます。

水和したファシアのネットワークは、バイオテンセグリティによる機械的応力による情報伝達と同時に、圧電効果やフレキソエレクトリック効果による電気的な情報伝達も行っています。

ファシアが中枢神経系や末梢神経系と連動、または独立して電気パルスを分配することがわかっており、電気シグナルによる通信能力があります。

 

ファシア(fascia)は細胞外マトリックスと呼ばれる結合組織のことです。

細胞と細胞のつながり、組織と組織のつながりが保持されているのは、この結合組織のネットワークによって情報伝達が行われているからです。

ファシアは、血液やリンパ液ともネットワークでつながっていて、体液の循環を支えています。

 

ファシア(fascia)は、狭義の筋膜(myofascia)ではなく、筋膜や骨膜、そして内臓・神経・血管など様々な組織を包んでいます。

言い換えると、全身に広がるファシアのネットワークの中に、私たちの臓器や神経・血管など様々な組織が存在しているのです。

 

ファシアについては、関連記事をご参照ください ↓

ファシア(筋膜)のつながり

機械的情報伝達から化学的情報伝達

ファシアの情報伝達と体液循環

 

ファシアの基本的な特徴は、バイオテンセグリティ構造を有する張力ネットワークにより、機械的なストレスに適応して、細胞や組織を変化させることです。

私たちの体は、細胞、組織、器官が分離した状態ではなく、ファシアのネットワークによって連続性が生み出され、統一された体を形成しています。

このようなネットワークの情報伝達によって、外部の変化に応じて柔軟に状態を変化させ、恒常性を維持し続けることができます。

ホメオスタシス(恒常性維持)において、ファシアは欠かせない存在なのです。

 

テンセグリティ(バイオテンセグリティ)については、関連記事をご参照ください ↓

「テンセグリティー」ホメオスタシスのかたち

 

私たちの体に動きが発生すると、バイオテンセグリティによって絶えず調整されて全体的なパターンが発生し、体の1つ1つの細胞まで連続した張力が伝えらています。

細胞は、外力を感知して、その機械的情報を細胞そしてシステム全体に伝達して、局所および全身の機能を安定に保っています。

 

細胞が力学環境の変化を感知して、それを生化学的信号に変換するプロセスをメカノトランスダクションと言います。

細胞には、自らに負荷された力(機械的情報)を感知するメカノセンサーがあり、それを生化学的情報に変換して伝達して、様々な生命現象に関わっています。

メカノトランスダクションによって、機械的な力が細胞内の生化学的応答に変換されて、これらの力が細胞レベルで伝達されています。

つまり、ファシアのネットワークによる機械的情報は、メカノトランスダクションによって化学的情報にも変換されます。

 

メカノトランスダクションについては、関連記事をご参照ください ↓

メカノバイオロジー「重力と張力」

 

ファシアのネットワークの中を血管やリンパ管が通っていて、血液やリンパ液の流れは、ファシアのバイオテンセグリティと連動しています。

広義には、ファシアのネットワークには、血液とリンパ液(液体ファシア)が含まれます。

体液は、体の構造の形と機能を変化させることができ、メカノトランスダクションによって生化学的シグナルとホルモンシグナルを伝達しています。

血流とリンパの流れ (量、速度、方向)は、現在の姿勢に応じて変化し、頭と体幹と手足の両方について、身体の機能的必要性をリアルタイムで補います。

液体ファシアは、細胞および臓器の形状と機能に影響を与え、固体ファシアを機械的に変換して適応させることができます。

 

血液・リンパ液(液体ファシア)については、関連記事をご参照ください ↓

液体ファシア(liquid fascia)の役割と流体力学

機械的情報伝達から電気的情報伝達

ファシアの情報伝達と体液循環

 

圧電性(圧電効果)とは、圧電材料に機械的応力が加わると変形し、電荷が発生することを意味します

ファシアの主成分であるコラーゲンは、圧電性、つまり機械的ストレスに反応して電荷を発生する能力を有しています。

コラーゲン線維の構造は、3本のねじれたポリペプチド鎖で構成されており、機械的応力が加えられると、コラーゲン鎖自体が再配向し、双極子が特定の方向に沿って整列し、圧電性が生じます。

コラーゲン内の水分子が構造の安定化に役立っており、脱水するとコラーゲン線維の配向が乱れ、圧電性が低下します。

 

圧電性については、関連記事をご参照ください ↓

コラーゲン線維の圧電性と骨形成

圧電による神経組織の再生

 

コラーゲンの機械的特性および圧電性に大きな影響を与えているのは、水和している液晶水(EZ水)です。

 

液晶水(EZ水)については、関連記事をご参照ください ↓

生体水の秩序性「EZ水」

コラーゲンの水和と脱水と機械的特性については、関連記事をご参照ください ↓

コラーゲンの水和と脱水と機械的変形

液晶については、関連記事をご参照ください ↓

液晶と散逸構造

 

圧電効果は材料のひずみに比例して発生する電気分極です。

フレキソエレクトリック効果は、ひずみの空間的な変化率(ひずみ勾配)に比例して電気分極が発生する現象です。

フレキソエレクトリック効果は、圧電効果よりも分極量は小さいと言われてきましたが、ナノスケールでは比較的大きな誘電分極が発生するため重要となります。

液晶は、形状変化を大きく取ることが容易に可能であり、フレキソエレクトリック効果による電気分極が顕著に現れます。

 

フレキソエレクトリック効果については、関連記事をご参照ください ↓

生体のフレキソエレクトリシティ

 

水和したファシアのネットワークは、バイオテンセグリティによる機械的応力による情報伝達と同時に、圧電効果やフレキソエレクトリック効果による電気的な情報伝達も行っています。

ファシアが中枢神経系や末梢神経系と連動、または独立して電気パルスを分配することがわかっており、電気シグナルによる通信能力があります。

まとめ

ファシアの情報伝達と体液循環

 

ファシア(fascia)は細胞外マトリックスと呼ばれる結合組織のことです。

細胞と細胞のつながり、組織と組織のつながりが保持されているのは、この結合組織のネットワークによって情報伝達が行われているからです

 

ファシアは、バイオテンセグリティ構造を有する張力ネットワークにより、機械的情報伝達を行っています。

また、ファシアのネットワークによる機械的情報は、メカノトランスダクションによって化学的情報にも変換されます

 

ファシアの主成分であるコラーゲンは、圧電性、つまり機械的ストレスに反応して電荷を発生する能力を有しています。

コラーゲンの機械的特性および圧電性に大きな影響を与えているのは、水和している液晶水(EZ水)です。

液晶は、形状変化を大きく取ることが容易に可能であり、フレキソエレクトリック効果による電気分極が顕著に現れます。

水和したファシアのネットワークは、バイオテンセグリティによる機械的応力による情報伝達と同時に、圧電効果やフレキソエレクトリック効果による電気的な情報伝達も行っています。

ファシアが中枢神経系や末梢神経系と連動、または独立して電気パルスを分配することがわかっており、電気シグナルによる通信能力があります。

 

ファシアの情報伝達と体液循環