ギャップ結合と電気シナプスの可塑性

ギャップ結合と電気シナプスの可塑性

ギャップ結合と電気シナプスの可塑性

【この記事のまとめ】
ギャップ結合は、隣接する細胞間のイオンおよび生体分子の通過を調節するため、発生、分化、神経活動、免疫応答などの多くの生物学的活動において非常に重要です。

イオンの移動を可能にする能力に基づいて電気的結合をサポートし、細胞間の電流の直接的な流れに対する低抵抗経路となります。

特に神経細胞や心筋・平滑筋のような興奮性細胞では、電気信号がギャップ結合を通じて、直接的に遅延なく迅速に伝達されます。これを電気シナプスと呼び、双方向通信が行われています。

可塑性は、化学シナプスの領域であると考えられがちですが、電気シナプスの基本的な特性でもあります。

電気シナプスの可塑性は、ミリ秒から数日の範囲の時間スケールで発生する可能性があります。

 

化学シナプスと電気シナプス

ギャップ結合と電気シナプスの可塑性

 

神経系が組織化してネットワークを形成する原理は、そのニューロン間のシナプス伝達です。

化学シナプスと電気シナプスという 2 種類のシナプスが存在して、異なる特性を持ち相補的な機能を果たしています。

化学シナプスは、1 つのニューロンからの神経伝達物質の放出を必要とし、汎用性の高い選択的で一方向の伝達を行います。

一方、ニューロン間のギャップ結合による電気シナプスは、より迅速な双方向伝達を行っています。

 

化学シナプス

化学シナプスではニューロン間に20~40nmのシナプス間隙が存在します。

このため電気信号が、シナプス前ニューロンの軸索終末部からシナプス後ニューロンの樹状突起に、直接伝播することはありません。

化学シナプスでは、シナプス前ニューロンで電気信号を化学信号に変換し、シナプス後ニューロンでは化学信号を電気信号に変換しています。

電気信号によって、シナプス前ニューロンの軸索終末部から神経伝達物質が放出され、シナプス間隙に拡散し、シナプス後ニューロンの細胞膜に発現するレセプター(受容体)に到達・結合することで、シナプス伝達を行います

これによってNaなどのイオンチャネルが開き、シナプス後ニューロンにおける電位変化が生じます。

 

化学シナプスではニューロン間の電気信号の伝達が間接的となり、物質の放出・拡散、受容体結合、チャネル開閉などの過程により時間がかかり、数ミリ秒のシナプス遅延が生じます。

また情報伝達する方向は、一方向のみとなり、断続的となります。

 

電気シナプス

ギャップ結合と電気シナプスの可塑性

 J Mammary Gland Biol Neoplasia. 2003 Oct;8(4):463-73.

 

コネキシンと呼ばれる膜タンパク質が6個集まって、中央に孔を持ったチャネルタンパク(コネクソン)をつくります。

隣り合う細胞膜に埋め込まれた六角形のコネクソン同士が、くっつけ合うように会合して、一つのチャネルを形成します。

二つの細胞の細胞質が、コネクソンを通して直接連絡することができるギャップ結合チャネルを形成します。

ギャップ結合チャネルは、隣接する細胞間のイオンおよび生体分子の通過を調節するため、発生、分化、神経活動、免疫応答などの多くの生物学的活動において非常に重要です。

 

アストロサイトのギャップ結合チャネルについては、関連記事をご参照ください ↓

アストロサイトとグリオーシス

イオンの移動を可能にする能力に基づいて電気的結合をサポートし、細胞間の電流の直接的な流れに対する低抵抗経路となります。

特に神経細胞や心筋・平滑筋のような興奮性細胞では、電気信号がギャップ結合を通じて、直接的に遅延なく迅速に伝達されます。これを電気シナプスと呼び双方向通信が行われています。

 

神経のつながりについては、関連記事をご参照ください ↓

神経のつながり「なぜ痛みが起こるのか?」

ギャップ結合の他にも、エクソソームやトンネルナノチューブなどによって細胞間で物質の輸送を行っています。詳しくは関連記事をご参照ください ↓

「エクソソームとトンネルナノチューブ」細胞間コミュニケーション

電気シナプスの可塑性

ギャップ結合と電気シナプスの可塑性

ギャップ結合と電気シナプスの可塑性

Design principles of electrical synaptic plasticity

Neurosci Lett. 2019 Mar 16:695:4-11. doi: 10.1016/j.neulet.2017.09.003

 

シナプスの可塑性は、環境の刺激に適応し、複雑な行動を生み出し、学習するために不可欠なものです。

 

シナプスの可塑性による学習・記憶については、関連記事をご参照ください ↓

「シナプス可塑性」学習・記憶のメカニズム

 

可塑性は、化学シナプスの領域であると考えられがちですが、電気シナプスの基本的な特性でもあります。

 

細胞間のギャップ結合チャネルの数

ギャップ結合は非常に動的な構造であり、コネキシンの代謝回転速度を調節することにより、ギャップ結合チャネルの数を急速に変化させることができます。

アクティブまたは開いているチャネルの割合

接合部は一定に開いた孔ではなく、膜電位や他のタンパク質との相互作用やリン酸化によって、その活性が動的に調整されるチャネルとなっています。

電気シナプスの可塑性の時間スケール

短期的な可塑性はミリ秒の時間スケールで発生します。

これは細胞膜チャネルの開閉の結果として生じ、どの回路でも短期的な可塑性が発生する可能性があります。

 

中期の可塑性では、状態が変化するまでに数秒から数分かかります。

ほとんどの電気シナプスの中期可塑性は、コネキシンのリン酸化状態を制御するプロテインキナーゼとホスファターゼの活性のバランスによって制御されます。

 

長期的な可塑性は、タンパク質の代謝回転と遺伝子発現の変化の結果として、数分から数時間の時間スケールで発生します。

これらの変化は、数時間、数日、数週間、または一生続く可能性があります。

まとめ

ギャップ結合と電気シナプスの可塑性

 

ギャップ結合は、隣接する細胞間のイオンおよび生体分子の通過を調節するため、発生、分化、神経活動、免疫応答などの多くの生物学的活動において非常に重要です。

イオンの移動を可能にする能力に基づいて電気的結合をサポートし、細胞間の電流の直接的な流れに対する低抵抗経路となります。

特に神経細胞や心筋・平滑筋のような興奮性細胞では、電気信号がギャップ結合を通じて、直接的に遅延なく迅速に伝達されます。これを電気シナプスと呼び、双方向通信が行われています。

可塑性は、化学シナプスの領域であると考えられがちですが、電気シナプスの基本的な特性でもあります。

電気シナプスの可塑性は、ミリ秒から数日の範囲の時間スケールで発生する可能性があります。

 

 

ギャップ結合と電気シナプスの可塑性