mRNAワクチンによる初回免疫が IgG4 抗体誘導の原因

mRNAワクチンによる初回免疫が IgG4 抗体誘導の原因

mRNAワクチンによる初回免疫が IgG4 抗体誘導の原因

【この記事のまとめ】
mRNAワクチンのブースター接種を繰り返すと、高レベルの IgG4 の産生に切り替わり、免疫応答が損なわれることがわかっています。

このワクチン誘発性の免疫抑制の状況下で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に再感染すると、SARS-CoV-2 の病状が悪化する可能性があります。

初回免疫に使用された mRNAワクチンが、二次免疫応答における IgG4 サブクラスの高い分布の原因となります。

最初に遭遇したのが mRNAワクチンであった場合において、既存のスパイク特異的 IgG4 記憶 B細胞が再活性化されると考えられます。

最初に SARS-CoV-2 に自然感染した後に、mRNAワクチン接種を行っても、IgG4サブクラスの誘導は起きていません。

自然感染後の獲得免疫と mRNAワクチンによる獲得免疫には大きな違いがあり、自然感染による獲得免疫のメリットがわかってきました。

 

ワクチン接種の目的は、中和抗体を体内に予め増やして、獲得免疫によって防御力を上げることです。

記憶細胞である抗体産生細胞が、体の中に十分な量の抗体を予め準備しておけば、盾となってウイルスからの感染を予防することができます。

しかし、時間の経過と共に抗体産生細胞の数は次第に減少するため、追加接種(ブースター接種)を繰り返して、体内の中和抗体価を再び増加させることが行われてきました。

ただ現行の新型コロナワクチンでは、中和抗体だけでなく感染増強抗体も産生してしまうため、どんどん新たな変異株が出現すると、抗体依存性感染増強(ADE)のリスクが懸念されています。

 

抗体依存性感染増強(ADE)については、関連記事をご参照ください ↓

新型コロナウイルス変異株「抗体依存性感染増強の懸念」

また起源株のワクチンで付与された免疫がある状態で、変異株型のワクチンを追加接種すると、起源株に対する既存の免疫が、その変異株に対する新たな免疫が誘導されるのを邪魔するという抗原原罪という現象が懸念されます。

 

抗原原罪という免疫現象については、関連記事をご参照ください ↓

「オミクロン株XBB対応ワクチン」抗原原罪の懸念

自然感染後の獲得免疫と mRNAワクチンによる獲得免疫には大きな違いがあり、自然感染による獲得免疫のメリットがわかってきました。

 

自然免疫と獲得免疫については、関連記事をご参照ください ↓

自然免疫とミトコンドリア代謝

スパイクタンパク質特異的 IgG4 抗体

mRNAワクチンによる初回免疫が IgG4 抗体誘導の原因

 

ヒト血清中に最も豊富に存在する免疫グロブリン アイソタイプは免疫グロブリン G(IgG)です。

ヒト免疫グロブリン G (IgG)は、IgG1、IgG2、IgG3、および IgG4 の4つのサブクラスに分類されます。

IgG のサブクラスは、抗原結合、免疫複合体形成、補体活性化、エフェクター細胞活性化の誘発に関して独自のプロファイルを持っています。

抗原刺激の後、2つの主要な補体活性化サブクラスである IgG1と IgG3 が最初に分泌されますが、後で形成される IgG2 と IgG4 は補体を活性化できないため、炎症を軽減する役割を果たしている可能性があります。

 

mRNAワクチンのブースター接種を繰り返すと、高レベルの IgG4 の産生に切り替わり、免疫応答が損なわれることがわかっています。

このワクチン誘発性の免疫抑制の状況下で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に再感染すると、SARS-CoV-2 の病状が悪化する可能性があります。

重症の COVID-19 で亡くなった患者は、回復した患者よりも IgG4 レベルが高かったことが実証されています。

 

mRNAワクチンのブースター接種による IgG4 抗体の増加については、関連記事をご参照ください ↓

ブースター接種による免疫寛容「IgG4抗体の増加」

新型コロナワクチン(mRNAワクチン)による免疫低下の懸念

初回免疫がIgG4の誘導をプライミング

mRNAワクチンによる初回免疫が IgG4 抗体誘導の原因

Class switch towards spike protein-specific IgG4 antibodies after SARS-CoV-2 mRNA vaccination depends on prior infection history

Sci Rep. 2023 Aug 13;13(1):13166. doi: 10.1038/s41598-023-40103-x.

 

SARS-CoV-2 に対して最も広く適用されているワクチンの種類は、不活化ワクチン、ウイルスベクター ワクチン、 mRNA ワクチンなどがあります。

日本における初回免疫には、ファイザーやモデルナの mRNA ワクチン、アストラゼネカのウイルスベクター ワクチンが使用されています。

 

ファイザーの mRNAワクチン(コミナティ筋注)については、関連記事をご参照ください ↓

コミナティ筋注(ファイザー社 COVID-19ワクチン)6ヵ月の有効性について

コミナティ筋注「追加接種の有効性」

 

SARS-CoV-2に対するウイルスベクターワクチンまたは mRNAワクチンを接種した者とワクチン接種を受けていない者における、スパイク特異的 IgG 抗体サブクラスの存在とレベルを調べました。

その結果、ウイルスベクターワクチンが mRNAワクチンよりも低い総スパイク特異的 IgG レベルを誘導することがわかりました。

mRNAワクチン接種前に感染した個体におけるスパイク特異的 IgG サブクラスのパターンは、ベクターワクチン接種を受けた被験者またはワクチン接種を受けていない新型コロナウイルス感染症者と類似していました。

スパイク特異的 IgG4 への切り替えは、mRNA ワクチンのみを受けた個体、または mRNA ワクチン接種後に感染した個体に現れました。

 

自然な SARS-CoV-2 感染、またはベクターまたは mRNA ベースのワクチン接種による免疫系のプライミングが、発達した特異的体液性免疫の特性に重要な影響を与えることを示唆しています。

初回免疫に使用された mRNA ワクチンが、二次免疫応答における IgG4 サブクラスの高い分布の出現の原因となります。

最初に遭遇したのが mRNA ワクチンであった 場合において、既存のスパイク特異的 IgG4 記憶 B 細胞が再活性化されると考えられます。

最初にSARS-CoV-2に自然感染した後に、mRNAワクチン接種を行ってもIgG4サブクラスの誘導は起きていません。

 

まとめ

mRNAワクチンによる初回免疫が IgG4 抗体誘導の原因

 

mRNAワクチンのブースター接種を繰り返すと、高レベルの IgG4 の産生に切り替わり、免疫応答が損なわれることがわかっています。

このワクチン誘発性の免疫抑制の状況下で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に再感染すると、SARS-CoV-2 の病状が悪化する可能性があります。

初回免疫に使用された mRNAワクチンが、二次免疫応答における IgG4 サブクラスの高い分布の原因となります。

最初に遭遇したのが mRNAワクチンであった場合において、既存のスパイク特異的 IgG4 記憶 B細胞が再活性化されると考えられます。

最初に SARS-CoV-2 に自然感染した後に、mRNAワクチン接種を行っても、IgG4サブクラスの誘導は起きていません。

自然感染後の獲得免疫と mRNAワクチンによる獲得免疫には大きな違いがあり、自然感染による獲得免疫のメリットがわかってきました。

 

mRNAワクチンによる初回免疫が IgG4 抗体誘導の原因