薬の副作用が怖い 飲みたくない心理とは?
「副作用が怖いから、薬は飲まない」「漢方薬や健康食品・サプリメントなら、副作用がないので安心して飲める」
そのように言われる方をたくさん見てきました。
副作用というネガティブなものだけに、意識を合わせているからだと思います。
薬の有効性(効果)に個人差が大きくでるのと同じで、薬の有害事象(副作用)にも個人差が大きくでます。
もちろん重篤な副作用がでる場合もあります。
薬の副作用というものを正しく理解して、リスクとベネフィットを判断できるようになりましょう。
効果(主作用)と副作用は同じもの
「薬の副作用」というものを、薬の効果とは別に存在する、何か非常に怖いものと認識している方がいます。
薬の効果と副作用は実は同じものです。
薬の反応によってでた症状を、あなたにとって有益か有害かで分類しているだけです。
あなたにとって、都合がよいものが、効果(作用)であり、
あなたにとって、都合が悪いものが、有害事象(副作用)となります。
例えば、薬を飲んで眠たくなった場合、
眠たくなって仕事に集中できないと感じる人にとっては有害事象です。薬との因果関係があると判断された場合には、副作用という名前が付きます。
ところが、夜眠れなくて困っていた人が、その薬を飲んでよく眠るようになった場合、有害事象ではなく有益な作用(効果)と考えられます。
また例えば、ある薬を飲んで便秘するようになった場合、有害事象(副作用)と感じる方もいれば、慢性的に下痢だった症状が改善して、有益な作用(効果)と感じる方もいます。
つまりその薬を飲んで、体内で反応が起こり、結果として現れた症状を、あなたにとって有益か有害かで判断して、名前をつけている結果です。
目的とした主作用(効果)ができるだけ発現できるように、かつ有害事象(副作用)ができるだけ発現しないように、飲む薬の量などを調整して、薬は開発されています。
当然、ベネフィットがリスクを上回るように設計されています。
しかし、薬の効果(有効性)に個人差が大きくでるのと同じで、薬の有害事象(副作用)にも個人差が大きくあります。
副作用と有害事象の関係については、関連記事をご参照ください ↓
副作用がないものは作用(効果)がない
副作用がない薬は存在しません。漢方薬にも有害事象(副作用)はあります。
健康食品やサプリメントにも有害事象(副作用)は存在します。
医薬品のように臨床試験がされていない為、ネガティブな有害事象(副作用)の情報収集が不足しているだけです。
もし有害事象(副作用)がまったくないものがあるとしたら、それは効果(作用)がないものです。
数万円もする健康食品やサプリメントを飲まれている方もいるとは思いますが、
副作用がないから安心という理由で飲まれているなら、もう一度考え直してみてはいかがでしょうか?
そんなはずはない、飲んでいて体調がすごく良くなったと思われる方も多いでしょう。
自分で気に入って飲んでいる健康食品は、プラセボ効果が非常に高くでます。
自分が信用している先生が推奨しているから間違いない!
そこらへんにある健康食品とは違って、特別な原料を集めてつくられているから!
お値段もこんなに高い!
すべてプラセボ効果を高めてくれます。
体調が良くなったのであれば、その事実を否定するものではありません。
薬の有効性に与える影響で説明したのと同様、あなたにとっての有効性であることは間違いありません。
薬の有効性については、詳しくは関連記事をご参照ください ↓
プラセボ効果とノセボ効果については、関連記事をご参照ください ↓
ただし、有効成分による作用(効果)であるのか?因果関係を判定することができません。
臨床試験がされていないので、それが良いものなのか?悪いものなのか?を判断できないのです。
もし高額な健康食品やサプリメントを飲んでいて、経済的な負担を感じているのであれば、
自分の治癒力を信じてみてはいかがでしょうか?
薬に依存する社会 薬はありがたいもの
日本は国民皆保険制度があり、医療保険をつかって安価で医薬品を飲むことができます。
まるで食事を摂るかのように、薬や健康食品・サプリメントを飲んでいる方もたくさんいます。
生活習慣病など予防的な意味合いで投与される薬が多くなり、薬を飲み続けることが当たり前になってしまいました。
飲むことが当たり前になり過ぎると、効果を期待するよりも、副作用を恐れるようになってきました。
薬を飲むなら、どのような作用があって、自分にとってどのようなベネフィットがあるのか?まずはしっかり理解しましょう。
有効性にベネフィットがあると判断した場合に、副作用など安全性について考えていきましょう。
いざという時に飲む薬があることは、非常に有難いことです。
自分の力ではどうすることもできない時に(自分の治癒力を信じることができない時に)、薬の助けを借りる選択ができます。
(とある昔話)
村で少女が高熱を出して、生死をさまよっています。
長老が言います。「あの恐山の山頂に咲いている薬草を煎じて飲ますのじゃ」
少女の父親が、危険を冒して薬草をとる旅にでます。
その間、村人全員で少女が回復するように祈っています。
数日経って、父親がボロボロになりながら、薬草を持って戻ってきました。
長老が薬草を煎じて少女に飲ませました。
翌朝、少女の熱が下がって、意識を回復しました。
薬草の効果によって、少女の熱が下がったのでしょうか?
それとも数日経って、自然に熱が下がったのでしょうか?
自らの危険を冒して、薬草を取ってきてくれた父親の思いに、少女が無意識で応えくれたのでしょうか?
はたまた村人全員の祈りが、少女を回復させたのでしょうか?
因果関係の判定は難しいのです。
もし仮に、この村に解熱剤の錠剤があった場合に・・・
長老が言いました。「そのような危ない薬は飲ませられない」
まとめ
現代の医薬品というのは、品質を保持して必要な時に安定して供給できます。
飲みたいときにすぐに飲める、非常に便利で有難いことだと思います。
薬草など自然のものでは、品質が一定しないので、同じ品種でも効果にばらつきがでてしまいます。
また必要な時に、すぐに飲むことができない場合があります。
漢方薬の品質については、関連記事をご参照ください ↓
現代はあまりに薬を飲み続ける人が多く、薬に依存した社会をつくってしまったと感じています。
飲むことが当たり前になり過ぎると、効果を期待するよりも、副作用を恐れるようになってきました。
これからの時代は、薬のベネフィットとリスクをしっかり考え、自分で薬を飲む・飲まないの選択していくことが大切だと思います。
いざという時に飲む薬があることは、非常に有難いことです。