オミクロン株対応ワクチン(BA.1対応型)の有効性

オミクロン株対応ワクチン(BA.1対応型)の有効性

オミクロン株対応ワクチン(BA.1対応型)の有効性

【この記事のまとめ】
ファイザー社及びモデルナ社が開発している「オミクロン株対応ワクチン」には、従来型ワクチン(武漢株)との2価ワクチンで「BA.1対応型」と「BA.4/5対応型」の2種類があります。

日本国内で2022年9月中旬以降に接種開始を検討している「オミクロン株対応ワクチン」は、従来型とBA.1対応型を組み合わせた2価ワクチンです。

オミクロンBA.4/5は、RBD 領域に2 つの追加変異( L452R および F486V)があり、オミクロンBA.1 および BA.2 と比較して、中和抗体からの大きな回避を示します。

従来型ワクチンを3回接種した後でも、オミクロンBA.1及びBA.2に対する中和抗体価は武漢株と比べて低く、オミクロン BA.4/5に対してはさらに大きく低下しています。

従来型ワクチンの2回接種あるいは3回接種者が、オミクロンBA.1 にブレークスルー感染後、BA.4/5 の中和に対してわずかなブースト効果しか示していません。

つまり、従来型ワクチン(武漢株に基づいて開発)だけでなく、オミクロンBA.1のスパイク糖タンパク質に基づいて開発したワクチンでも、オミクロンBA.4/ 5に対する中和抗体価は非常に低いと考えられます。

国内で承認される予定のオミクロン株対応ワクチン(従来型とオミクロンBA.1型の2価ワクチン)では、現在の主流であるオミクロンBA.5に対する感染防止の有効性はあまり期待できないと考えられます。

 

英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は、2022年8月15日に新型コロナウイルスのモデルナ社のオミクロンBA.1型と従来型の2価ワクチンを承認した。2022年9月3日には、ファイザー社のオミクロンBA.1型と従来型の2価ワクチンも承認しました。

 

米食品医薬品局(FDA)は、2022年8月31日に新型コロナウイルスのオミクロン変異株の新系統「BA.4・BA.5」に対応したモデルナ社とファイザー社のワクチンについて、ブースター接種用として緊急使用許可を出しました。

緊急使用が許可されたのは、BA.4/5対応型ワクチンと従来型ワクチンを組み合わせた2価ワクチンです。

 

日本国内でも2022年9月中旬以降にオミクロン株対応ワクチンが特例承認されて、追加接種される見込みとなっています。

 

日本国内でのオミクロン株対応ワクチン

オミクロン株対応ワクチン(BA.1対応型)の有効性

第34回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(2022年8月8日)

オミクロン対応ワクチンの資料

 

ファイザー社及びモデルナ社が開発しているオミクロン株対応ワクチンには、従来型ワクチン(武漢株)との2価ワクチンで「BA.1対応型」と「BA.4/5対応型」の2種類があります。

日本国内で2022年9月中旬以降に接種開始を検討している「オミクロン株対応ワクチン」は、従来型とBA.1対応型を組み合わせた2価ワクチンです。

 

ファイザー社のオミクロン株対応ワクチンは、従来型ワクチンよりオミクロン株(BA.1)に対する中和抗体価が1.56倍に上がっています。

モデルナ社のオミクロン株対応ワクチンは、従来型ワクチンよりオミクロン株(BA.1)に対する中和抗体価が1.75倍に上がっています。

そのため従来型ワクチンのブースター接種より、オミクロン株対応ワクチンのブースター接種の有効性が高いように言われています。

しかし、それはオミクロンBA.1に対する中和抗体価であり、現在国内感染で問題になっているのはオミクロン株の亜系統BA.5です。

つまり、オミクロンBA.5に対する中和抗体価で、その有効性を論じる必要があるのです。

 

オミクロン株亜系統BA.4/BA.5

オミクロン株対応ワクチン(BA.1対応型)の有効性

Antibody escape of SARS-CoV-2 Omicron BA.4 and BA.5 from vaccine and BA.1 serum

Cell. 2022 Jul 7;185(14):2422-2433.e13. doi: 10.1016/j.cell.2022.06.005.

 

オミクロン株対応ワクチン(BA.1対応型)の有効性

BA.4 と BA.5 の S 配列は同一であり、BA.2 と密接に関連しています 。

RBD 領域に 2 つの追加変異( L452R および F486V)があります。

残基 452 と 486 の両方が ACE2 相互作用表面の端近くにあり 、ACE2 親和性と中和能力を調節する可能性があります。

L452R および F486V 変異によって、抗体のエスケープを引き起こす可能性が高くなります。

 

オミクロン株対応ワクチン(BA.1対応型)の有効性

 

オミクロンBA.1 および BA.2 と比較して、BA.4/5 は中和からの大きな回避を示します。

3回の従来型ワクチン接種では、オミクロンBA.1と比較して、BA.4/5の中和活性は3.1倍減少します。

ワクチン接種済のオミクロンBA.1のブレイクスルー感染者では、発症から17日以内(中央値12日)では、BA.1と比較してBA.4/5の中和活性は1.9倍減少しました。発症後28日以降(中央値45日)では、BA.1と比較してBA.4/5の中和活性は3.4倍減少しました。

 

ファイザー社の従来型ワクチンの中和抗体の誘導

オミクロン株対応ワクチン(BA.1対応型)の有効性

Omicron BA.1 breakthrough infection drives cross-variant neutralization and memory B cell formation against conserved epitopes

Sci Immunol. 2022 Jun 2;eabq2427. doi: 10.1126/sciimmunol.abq2427.

 

ワクチンを接種する目的は、獲得免疫のうちの「抗体による体液性免疫」を高めることにあります。

自然免疫と獲得免疫については、関連記事をご参照ください ↓

自然免疫とミトコンドリア代謝

SARS-CoV- 2に対する中和抗体の力価、そしてスパイク糖タンパク質とその受容体結合ドメイン (RBD) への抗体の結合は、感染に対する防御と相関すると考えられています。

現在利用している従来型ワクチンは、武漢-Hu-1 株の スパイク糖タンパク質に基づいており、武漢株または懸念される変異株に対して幅のある中和能力を持つ抗体を誘導します。

中和抗体力価は時間の経過とともに低下するため、定期的なワクチンのブースター接種が必要であると考えられています。

 

ブースタ接種については、関連記事をご参照ください ↓

コミナティ筋注 追加接種(ブースター接種)の有効性

 

しかしながら、次々と新たな変異株の感染に移行していく状況の中で、ブースター接種を繰り返すことが本当に有効であるのか?

今現在の感染状況からも疑問が生じています。

 

オミクロン変異株に対する感染状況については、関連記事をご参照ください ↓

「新型コロナワクチン」本当に有効なのか?

 

BNT162b2(ファイザー社のCOVID-19ワクチン)の2回接種あるいは3回接種者、2回接種あるいは3回接種後にオミクロンBA.1のブレイクスルー感染者での血清中和活性の大きさと幅が示されています。

オミクロン株対応ワクチン(BA.1対応型)の有効性

オミクロン株対応ワクチン(BA.1対応型)の有効性

従来型ワクチンを3回接種した後でも、オミクロンBA.1及びBA.2に対する中和活性は武漢株と比べて低く、オミクロン BA.4/5に対してはさらに大きく低下しています。

2回接種あるいは3回接種者が、オミクロンBA.1 のブレークスルー感染した場合、中和抗体応答の大きさと幅に影響を及ぼしています。

しかし、オミクロン BA.1 のブレークスルー感染は、オミクロンBA.4/5 の中和に対してわずかなブースト効果しか示していません。

 

つまり、従来型ワクチン(武漢株に基づいて開発)だけでなく、オミクロンBA.1のスパイク糖タンパク質に基づいて開発したワクチンでも、オミクロンBA.4/ 5に対する中和抗体価は非常に低いと考えられます。

国内で最初に承認される予定のオミクロン株対応ワクチン(従来型とオミクロンBA.1型の2価ワクチン)では、現在感染の主流であるオミクロンBA.5に対する感染防止の有効性はあまり期待できないと考えられます

 

有効性のベネフィットがない場合は、安全性のリスクを負うだけとなってしまいます。

mRNAワクチンの免疫低下の懸念については、関連記事をご参照ください ↓

新型コロナワクチン(mRNAワクチン)による免疫低下の懸念

抗体依存性感染増強(ADE)の懸念については、関連記事をご参照ください ↓

新型コロナウイルス変異株 抗体依存性感染増強(ADE)の懸念

まとめ

オミクロン株対応ワクチン(BA.1対応型)の有効性

 

ファイザー社及びモデルナ社が開発している「オミクロン株対応ワクチン」には、従来型ワクチン(武漢株)との2価ワクチンで「BA.1対応型」と「BA.4/5対応型」の2種類があります。

日本国内で2022年9月中旬以降に接種開始を検討している「オミクロン株対応ワクチン」は、従来型とBA.1対応型を組み合わせた2価ワクチンです。

しかし、現在国内感染で問題になっているのはオミクロンBA.5であり、BA.5に対する中和抗体価が重要となります。

オミクロンBA.4/5は、RBD 領域に2 つの追加変異( L452R および F486V)があり、オミクロンBA.1 および BA.2 と比較して、中和抗体からの大きな回避を示します。

従来型ワクチンを3回接種した後でも、オミクロンBA.1及びBA.2に対する中和抗体価は武漢株と比べて低く、オミクロン BA.4/5に対してはさらに大きく低下しています。

従来型ワクチンの2回接種あるいは3回接種者が、オミクロンBA.1 にブレークスルー感染後、BA.4/5 の中和に対してわずかなブースト効果しか示していません。

つまり、従来型ワクチン(武漢株に基づいて開発)だけでなく、オミクロンBA.1のスパイク糖タンパク質に基づいて開発したワクチンでも、オミクロンBA.4/ 5に対する中和抗体価は非常に低いと考えられます。

国内で承認される予定のオミクロン株対応ワクチン(従来型とオミクロンBA.1型の2価ワクチン)では、現在の主流であるオミクロンBA.5に対する感染防止の有効性はあまり期待できないと考えられます。

 

オミクロン株対応ワクチン(BA.1対応型)の有効性