液晶と散逸構造
私たちの体は、機械のように固定された物質ではなく、絶え間なく新陳代謝を繰り返しています。
物質やエネルギーの流れの中に存在し、一定のバランスが保たれている状態が私たちの生命です。
生命とは、絶え間なく流れ込む物資やエネルギーによって、自己組織化が起こる散逸構造であると言われています。
この散逸構造を生み出す秘密が、生体の液晶構造にあったのです。
生体システムと液晶構造
一般に物質には、固体(結 晶)、液 体、気体の3つの状態が存在します。
液晶とは、結晶と液体の中間の状態であり、第四の状態とも呼ばれています。
結晶は、分子運動がほとんどなく、分子の重心(位置)と分子の向き(配向)が規則的に整っている状態です。
液体は、位置と配向が無秩序(ランダム)で、分子は自由な運動をしている状態です。
液晶は、結晶のように分子の配向は一方向に定まっているが、液体のように位置が定まっておらず、配向を維持したまま自由に動いている状態です。
液晶は、流動性と長距離分子秩序の両方の特性を備えており、外部刺激に対して並外れた感度を持つようになります。
熱、光、電磁場、音、圧力、化学物質など外界の刺激に対して敏感に応答し、液体と同様に物質の拡散を行い、エネルギーや情報を遠方に伝達することができます。
私たち生体を物質とみた場合、その構造と機能から液晶状態をとらざる得ないと考えられます。
液晶構造こそが、私たち生命の自己組織化を支えているのです。
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液晶は、結晶性を有しているために結晶が持つ圧電効果に似た効果を持ち、分子配向場にひずみを与えることによって巨視的な分極が発生します。
液晶における巨視的な分極は、フレクソエレクトリック効果(Flexoelectric effect)と呼ばれ、電位差を発生させて電気エネルギーを生成します。
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液晶水(EZ水)
水には固体(氷)、液体、気体(水蒸気)の3相があり、電気を帯びた物質の周囲の水が数百マイクロに渡って液晶化することがわかっています。
この第4の水の相(液晶状態の水)は、通常の水(バルク水)に比べてより高い秩序があり、溶質を排除する性質があるため EZ水(Exclusion Zone Water)とも呼ばれています。
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Why Hydrogels Don’t Dribble Water
Gels. 2017 Nov 15;3(4):43. doi: 10.3390/gels3040043
まずEZ水は、H2Oのように中性ではありません。
通常、負に帯電しており、EZを超えた水の領域は補完的な正電荷を帯びています。
水分子がH +とOH ーに分解され、後者が一緒になって負に帯電した排除領域を形成し、プロトンはヒドロニウムイオンの形でバルクの水に残るため、分離が起こると推測されます。
EZ水の秩序の創出と電荷の分離はどちらもエネルギーを必要としますが、そのエネルギーは光から得ることができます。
300 ~ 5000 nm のすべての波長が寄与し、最も効果的なのは約 3000 nmの赤外線領域にあることがわかっています。
環境中から赤外線エネルギーを吸収することで、水の第 4 相(EZ水)を構築することができます。
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水和したコラーゲンの変形は、EZ水のフレクソエレクトリック効果とコラーゲン線維の圧電効果による複合現象により、電気エネルギーが生成すると考えられます。
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液晶と散逸構造
平衡状態に置かれた系は、結晶のような静的な構造を形作っています。
それに対してエネルギーの流れのある非平衡状態に置かれた系は、動的な構造を形作ることができます。
私たちの体は、エネルギーや物質が流入して、そして流出していく開放系にあります。
私たちは、生きている間は形がほとんど変わらないにもかかわらず、非平衡状態にあります。
静的な健康と動的な健康については、関連記事をご参照ください ↓
系の外部からコントロールされることなく、自発的に秩序が形成されることを自己組織化といいます。
熱力学的に平衡でない状態にある開放系で、エネルギーが散逸していく流れの中に自己組織化が行われる構造のことを、散逸構造と呼びます。
私たちは、外部から直摂取した食物から得たエネルギーによって、生命という散逸構造を維持し、その結果発生したエントロピーを排泄物の形で外部に捨てているのです。
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液晶は、熱や光、電磁場、音、圧力など外界の刺激に敏感に応答します。
液晶構造は外部とエネルギーのやり取りをしながら形成・維持されており、散逸構造と呼ぶことができます。
まとめ
液晶は、結晶のように分子の配向は一方向に定まっているが、液体のように位置が定まっておらず、配向を維持したまま自由に動いている状態です。
熱、光、電磁場、音、圧力、化学物質など外界の刺激に対して敏感に応答し、液体と同様に物質の拡散を行い、エネルギーや情報を遠方に伝達することができます。
液晶は、結晶性を有しているために結晶が持つ圧電効果に似た効果を持ち、分子配向場にひずみを与えることによって巨視的な分極が発生します。
液晶における巨視的な分極は、フレクソエレクトリック効果(Flexoelectric effect)と呼ばれ、電位差を発生させて電気エネルギーを生成します。
系の外部からコントロールされることなく、自発的に秩序が形成されることを自己組織化といいます。
熱力学的に平衡でない状態にある開放系で、エネルギーが散逸していく流れの中に自己組織化が行われる構造のことを、散逸構造と呼びます。
液晶構造は外部とエネルギーのやり取りをしながら形成・維持されており、散逸構造と呼ぶことができます。