【静的な健康】と【動的な健康】

【静的な健康】と【動的な健康】

【静的な健康】と【動的な健康】

【この記事のまとめ】
機械論による健康観では、普段ない不都合な症状が現れると、異常(エラー)と認識して”病気の症状”と考えます。

つまり病気や健康というものを、静的に捉えています。

しかし私たちの身体には、自然治癒力があり自己調整され、常に変化の中に存在します。

本来、健康というものは動的に捉える必要があります。

「静的な健康」と「動的な健康」の違いについて解説いたします。

 

「健康づくり」「健康のために〇〇する」といった言葉は、日常的にたくさん耳にします。

健康とは、いったいどういう状態のことをいうのでしょうか?

 

「病気がない状態が健康である」と逆説的に考える人も多いのではないでしょうか?

私たちは何か不都合な症状があったり、病院の検査で異常があれば、それを病気と考えています。

これは現代西洋医学が機械論により、静的な健康を捉えていることが原因です。

 

健康とは何か?病気とは何か? それがわからずして、健康づくりができるのでしょうか?

 

機械論的な健康

【静的な健康】と【動的な健康】

 

私たちの多くは、機械論的な考え方で、静的に病気や健康というものを捉えています。

デカルトの機械論により、身体は固定された物質と捉えるようになりました。

普段ない不都合な症状が身体に現れると、私たちはそれを病気と認識しています。

つまり体のある部分に異常(エラー)が発生してしまったと考えます。

 

病気を静的なもので考えた場合、異常(エラー)は取り除かなければならないと考えます。

この代表的なものが、外科手術などの急性期医療であり、西洋医学が最も得意とするものです。

 

機械論など西洋医学の特徴については、関連記事をご参照ください ↓

「原因不明の痛みや不調」検査で異常なしとは?

 

私たちの身体は、目に見える物質として捉えることができ、機械の部品のように考えることができます。

食事により何キロカロリー摂取して、運動で何キロカロリー消費するなど、まるで機械に燃料を入れるかのように考えたりもします。

身体の部品に異常(エラー)がなければ、それが健康であると捉えられています。

しかし、機械論による健康が示しているのは、静的な健康です。

 

動的な健康とは

【静的な健康】と【動的な健康】

 

私たちの身体は、機械のように固定された物質のように思われますが、身体を構成している要素は絶え間なく分解され、食事によって摂取した栄養素により作り直されています。

私たちの身体は常に新陳代謝を繰り返して、決して固定されることはありません。

 

代謝と生命活動については、関連記事をご参照ください ↓

「代謝と生命活動」異化と同化とエネルギー

 

私たちは静的な存在ではなく、動的な存在なのです。

流れの中に存在して、一定のバランスが保ち続けています。

傷ついたり、一時的にバランスを大きく崩したとしても、バランスを調整して復元する力があります。

自然治癒力と呼ばれる治癒系のシステムがあり、ホメオスタシス(恒常性維持)や自己再生機能が働きます。

 

ホメオスタシス(恒常性維持)

ホメオスタシスとは、体の外部環境の変化や、体内の生理機能のバランスの乱れに対して、体温や心拍・血圧・血糖値など様々な調整を行い、体の状態を一定に保つ機能です。

自律神経系、内分泌系、免疫系などが、複雑に絡み合いながら調整され、ある一定の状態に保ち続けて生命活動を維持するシステムです。

 

身体の部品がすべてそろっていても、自然治癒力が働かなければ、私たちは生命活動を続けることができません。

無意識の中で、私たちの身体は自己調整・再生されて、一定の状態に維持されているのです。

 

普段ない症状が現れて、なぜそれが現れたのかわからない場合には、それを病気として捉えたくなります。

しかし、それは自己調整による治癒過程で生じた一部の症状を、病気の症状として捉えているのです。

 

病気、治癒そして健康というのは、どれも一連の変化の過程でしかありません。

また症状というのは、身体が私たちにサイン(警告)送って、注意を促しているものでもあります。

 

病気とは何か?自然治癒力とは何か?については、関連記事をご参照ください ↓

「なぜ治らないのか?」自然治癒力の働きとは何か?

ホメオスタシスをサポートする治療については、関連記事をご参照ください ↓

「発熱の症状とは?」ホメオスタシスをサポートする 

慢性的な症状

【静的な健康】と【動的な健康】

 

例えば、慢性的な高血圧などの症状に、降圧剤を用いて血圧を下げる続けるという治療は、生命のホメオスタシス(恒常性維持)を完全に無視した行為といえます。

これは何らか調整により血圧を高い状態に維持しているものを、ただ血圧だけを下げてコントロールしていることになります。

薬の作用で血圧を下げる行為に対して、さらにホメオスタシス(恒常性維持)が働いて、身体はさらに血圧を上げようする力が強くなります。

 

私たちは様々な要因により自己調整されている、動的な存在であります。血圧が高いから服薬により血圧を下げるという、それほど単純な問題では解決できないものだと思います。

 

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まとめ

【静的な健康】と【動的な健康】

 

一般的に私たちは静的な健康として、機械論的に病気を捉えています。

何か不都合な症状が現れると、それを異常(エラー)であると考え、取り除こうとしています。

 

しかし、私たちの身体には自然治癒力と呼ばれる自己調整機能が備わっています。

私たちは機械のような静的な存在ではなく、常に変化し続ける動的な存在です。

 

動的な健康では、病気の症状はエラーではなく、自己調整による変化の一部分と考えられます。

病気、治癒そして健康、どれも一連の変化の過程でしかありません。

 

 

「健康と病気」は動的な複合適応状態の結果です。詳しくは関連記事をご参照ください ↓

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