「原因不明の痛みや不調」検査で異常なしとは?

「原因不明の痛みや不調」検査で異常なしとは?

「原因不明の痛みや不調」検査で異常なしとは?

【この記事のまとめ】
病院で検査をしたけど異常が見つからない。原因不明の痛みや不調でお悩みの方も多いのではないでしょうか?

一般的な病院で行われている近代西洋医学には、得意分野と不得意分野があります。

西洋医学の大きな特徴は機械的要素還元論と細胞病理学にあります。

原因不明という本当の意味を考える必要があります。

検査で異常が見つけられない場合、人体のハード面だけなく、ソフト面の原因を探る必要があります。

 

病院で検査をしても特に異常が見つからないけど、痛みや不調がずっと続いている。

原因不明といわれる、痛みや不調に悩まされている方も多いのではないでしょうか?

 

専門病院をいくつも受診しても、結局原因が見つからず、心療内科を紹介されるといった話も耳にします。

原因不明とはどういうことでしょうか?

 

近代西洋医学

「原因不明の痛みや不調」検査で異常なしとは?

 

一般的に私たちが病院に行って受けるのは、近代西洋医学と呼ばれるものです。世界中のだいたい1/3の人々がこの恩恵を受けていると言われています。

人体のハード面を緻密に追及して、病気の原因を探ることで治療法を見つける医学です。

急性期をもっとも得意とする医学で、機械的に修復処置することで、たくさんの命を救ってきました。

検査による診断技術が優れており、病気の原因を目に見える形で捉え、異常を数値化して明確化することで、標準化された質の高い医療を提供できるようになりました。

 

近代西洋医学の大きな特徴は機械的要素還元論(機械論)細胞病理学にあります。

 

機械的要素還元論(機械論)

人の体は各臓器や組織という部品の集合体であると考え、部品1つ1つを個別に細かく研究することで、異常となる原因を発見して最後に統合するという考え方です。

心と体を分けて考える心身二元論を提唱した、デカルト思想の影響を強く受けています。

 

要素還元主義による単一病因論については、関連記事をご参照ください ↓

「要素還元主義による単一病因論」ピロリ菌は胃癌の原因なのか?

 

細胞病理学

19世紀末にウィルヒョウが提唱した細胞病理学により、病気が臓器の障害であったものが、細胞レベルまで還元して考えるようになりました。

病気には必ず器質的な変化が存在すると考えています。

現代ではさらに、分子レベル、遺伝子レベルまで解析をして、どんどんミクロな世界まで原因追及を行うようになりました。

臓器レベル → 組織レベル → 細胞レベル → 分子レベル → 遺伝子レベル

 

この西洋医学には不得意な領域があります。機能的に明らかな異常があるけれど、検査しても器質的な異常を発見できない場合です。

原因が複雑に絡み合う病気、原因が解明できない・原因不明の病気です。

例えば、生活習慣病、ストレスからの心身症、難病(治療法がない)などです。

 

病院で検査をして、人体の器質的な異常を探すことは重要です。

私たち日本人は恵まれています。一般的に質の高い医療を受けることができますので、検査を受ければすぐにわかることもたくさんあります。

もし原因が見つからなかった場合は、マイナスに捉える必要はありません。人体のハード面の問題ではない可能性が高いというだけです。

原因不明というのは、西洋医学的な診断ではわからないということです。

 

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補完代替医療 CAM (Complementary and Alternative medicine)

「原因不明の痛みや不調」検査で異常なしとは?

 

補完代替医療とは、西洋医学を補って補完する医療(補完医療)と、西洋医学に取って代わる医療(代替医療)をまとめて呼びます。

 

世界中には様々な伝統医学があり、人々の健康を支えてきました。

中国医学(中医学)、インド医学(アーユルヴェーダ)、イスラム医学(ユナニ医学)、さらにチベット医学、ギリシャ医学など歴史のある伝統医学があります。

また民間療法と呼ばれる補完代替療法もたくさんあります。しかし、なかにはエビデンスが乏しく、有効性がプラセボ効果などではないかと疑わしいものもあります。

世界中の8割ぐらいの人が、何らかの補完代替医療を利用していると言われています。

 

プラセボ効果など有効性に影響を与える要因については、関連記事をご参照ください ↓

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中医学は検査数値や病理学的な変化に基づいたものではなく、人全体が現わす自他覚症状から、体質・病変を捉えて判断する中医弁証を行い、治療方法を導き出します。

しかし中医弁証する個人の力量・経験が大きく医療の質を左右します。

また天然の生薬を用いる処方は、その品質を一定に保つことが非常に難しいと思われます。

 

中医弁証については、関連記事をご参照ください ↓

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統合医療 Integrative Medicine

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西洋医学では、科学的根拠(エビデンス)がしっかりとあり、検査による数値化、病理検査による異常の発見など、人体のハード面をしっかり捉えることが可能です。

しかし、一人一人が病気になった背景となるものが違います。それぞれが病気になった物語を持っています。

身体だけでなく精神・心理的、社会的環境を含めた全人的なアプローチが必要になってきます。

 

EBM(エビデンス ベイスト メディスン)の問題点については、関連記事をご参照ください ↓

「高血圧治療のベネフィット」エビデンスに欠けるものとは

 

西洋医学に補完代替医療を統合して、新しい医療を提供していくこと、それが統合医療と呼ばれるものです。

統合医療は、西洋医学の薬物療法に、漢方処方やアロマオイルを併用するといったものでもありません。

補完代替療法を寄せ集めてきて、西洋医学と併用することで実現するものではないからです。

複数のいろいろな捉え方で病気の原因を探ることで、その人に最も適した医療をつくりだすものです。

足し算では掛け算となり、相乗的に効果をあげていくことが可能になります。

 

まとめ

「原因不明の痛みや不調」検査で異常なしとは?

 

病院で検査を受けたが異常が見つからないのは、原因不明ではありません。

西洋医学的な検査では、原因を特定できなかっただけです。

世界中にはたくさんの補完代替医療と呼ばれるものがあり、人体や病気の原因を西洋医学とは違った視点で捉えて判断することが可能です。

器質的な異常が発見できなくても、機能的な異常にアプローチができる医療はたくさんあります。

また、身体だけでなく精神・心理的、社会的環境を含めた全人的な視点で、病気を捉えていく必要があります。

人体のハード面とソフト面の両方にアプローチすることで、解決できるのはないでしょうか?

 

 

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