「正しい姿勢」体の力を抜けない人が多い
コロナ禍でのテレワークの加速によって、1日中家でデスクワークをしている方が増えています。
私たちは動物は、動くことに適した体の構造をしています。長時間同じ姿勢を続けることには、向いていないのです。
姿勢が崩れることで、私たちが思っている以上に、様々な影響を受けています。
感覚センサーの鈍り
急性的な外傷による痛みでない場合、痛みを感じるずいぶん前から、体の姿勢に変化があります。
私たちの多くは、ある日突然襲ってくる「痛み」のセンサーが鳴るまで、姿勢の崩れに気付いていません。
数年かけて徐々に変化した自分の体の状態には、なかなか気付くことができないのです。
自分自身の体の状態を感じる余裕がない生活を送っていたり、過緊張により体の感覚センサーが鈍くなっています。
そのためバランスがどんどん崩れていき、やがて大きな疾患を発症してしまいます。
「最近、なんだか体が重たく動きが悪いな」、「歳のせいかな」と感じているあなたは、その感覚センサーを大事にしてください。
ただ座っているだけの姿勢を維持するために、たくさんの筋肉・筋膜が張力バランスをとり続けています。
人体のテンセグリティ―構造については、関連記事をご参照ください ↓
重力に逆らって体を支持するために、私たちの体は実に精妙なバランスによってできています。
ほんの数ミリあるいは数センチの姿勢のズレが、体の重心の位置や力の伝わり方に影響を与えて、私たちの体の機能に大きな変化を生じさせます。
ファシア(筋膜)のつながり、筋膜経線については、関連記事をご参照ください ↓
運動より姿勢
運動不足で運動しなければと思いながら、なかなか運動する機会を増やせない方は多いと思います。
しかし、運動で重要なことは、量ではなく質です。
質の悪い運動は、かえって体を痛めたり、疲労を蓄積する結果となってしまいます。
また精神的にもリフレッシュされるような運動でないといけません。
気持ちが前向きになり、日々の生活を楽しむことができるからです。
健康のために運動する時間や機会を増やそうとするより、まずは姿勢(フォーム)を正すことを優先すべきです。
正しい姿勢の矯正は、40代からでも50代からでも60代からでも、遅いことはありません。
「歳だからしかたがない」というのは、都合のよい言葉で使われているだけで、本当はそんなことはありません。
正しい姿勢を維持できれば、日々の生活での動作が運動効果となって現われます。
逆に間違った姿勢で運動すると、膝や腰を痛めてしまったり、体の疲労を蓄積させる結果となります。
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正しい姿勢とは
体が緊張してこわばった部位ができると、張力バランスをとるために、別の部位が緊張して硬くなっていきます。
そうやってどんどん筋肉・筋膜が固まっていき、感覚がそれに慣れてしまい、緊張した状態が当たり前になります。
そうして体の力を抜けなくなってしまうのです。
本当は何もしないと体の力が抜けるはずが、常に力が入った緊張状態が続いてしまいます。
力を抜きたくても、抜いて緩めることができない人がたくさんいます。
脱力して張力バランスをリセットすることができないのです。
筋肉の収縮弛緩のメカニズムについては、関連記事をご参照ください ↓
心と体は密接につながっているため、体の緊張がとれないと、精神的にもリラックスすることができません。
私たちの脳は、筋肉の緊張を交感神経反応(闘争・逃走 反応)と捉えてしまい、神経系・内分泌系・循環器系などで体を調節しようとします。
常に体の筋肉が緊張していると、私たちの行動と自律神経の反応とが、うまく一致しなくなっていきます。これが自律神経失調症と呼ばれるような症状で、様々な症状に悩まされることになります。
自律神経失調症については、関連記事をご参照ください ↓
現代社会は何かと不安が多く、自覚がないまま過緊張状態で生活する人々が増えています。
緩んだ時に初めて、それまでの緊張状態に気付くことができるのです。
力が抜けると背筋が伸びる
スポーツや武道・作法など、あらゆるところで背筋を伸ばして動作を行うことは、昔からずっと言われ続けています。
背骨のまわりの筋肉が背骨を正しい位置にキープし、脊髄神経の伝達がスムーズになりパフォーマンスが上がります。
しかし、無理して胸を張り背筋を伸ばした姿勢は、実はバランスがとれた姿勢ではありません。
このような姿勢をとると、腰の筋肉が固まり反り返ったようになり、それによってバランスをとっています。
その姿勢を長くキープすることは難しく、かえって筋疲労を起こしたり、息も苦しく辛い状態になります。
外呼吸(肺呼吸)は、呼吸筋が収縮と弛緩を繰り返すことで行われています。
胸郭が広がりにくく、呼吸筋の動きが悪くなると、息が浅く小さな呼吸になってしまいます。
呼吸については、関連記事をご参照ください ↓
自然に肩の力が抜けて、胸を張り、背筋が伸びている状態をつくること、すなわちインナーマッスルがうまく働いて、体に力を入れずに姿勢をキープできることが重要です。
美しい立ち姿とは、体の緊張がとれて、楽に立っていることができる状態です。
ケガや病気の予防だけでなく、年齢より若く見えるようになり、特に女性は美しく見えるようになります。
女性にとっては永遠のテーマである美は、立ち姿の美しさをベースに生まれるものです。
まとめ
私たちの多くは、日々の生活に追われて、なかなか自分の体の状態と向き合う時間をつくっていません。
ある日突然襲ってくる痛みは、そのずいぶん前から姿勢が崩れていることが原因です。
数年かけて徐々に変化した自分の体の状態には、なかなか気付くことができないのです。
健康のために運動するより、まずは姿勢(フォーム)を正すことを優先すべきです。
正しい姿勢とは、体の力が自然と抜けた状態で張力バランスがとれることです。
現代社会は何かと不安が多く、自覚がないまま過緊張状態で生活する人が増えています。
本来は何もしないと体の力が抜けるはずが、常に力が入った緊張状態が続いています。
力を抜きたくても、抜いて緩めることができない人がたくさんいます。
緩んだ時に初めて、それまでの緊張状態に気付くことができるのです。
姿勢を正すことで、目線が上がり、普段と見える景色が異なります。
姿勢を正すことで、胸郭が広がり、呼吸が大きくなります。
姿勢を正すことで、疲れにくい体になります。
姿勢を正すことで、体の感覚が高まり、パフォーマンスが上がります。
姿勢を正すことで、自然と美しい立ち姿をつくります。
六層連動操法は、硬直した深部のファシア(筋膜)を解放して、動けなくなっていた組織の滑走性をとり戻します。
もともと持っていた柔軟に連動する体の状態をとり戻すことができます。
ファシア(筋膜)リリースについては、関連記事をご参照ください ↓