「酸化ストレス」エネルギー代謝とホメオスタシス

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【この記事のまとめ】
私たちのが生命を維持するためには、ミトコンドリアの内呼吸による酸素を利用したエネルギー代謝を回すことが非常に重要です。

糖質や脂質などの栄養素が、酸素を使った内呼吸によって完全燃焼されることで、二酸化炭素と水が生成されます。これによって、外部環境から酸素を取り入れるための循環(つながり)が生まれています。

内呼吸が行われず、外呼吸だけを行うことにより、活性酸素による酸化ストレスが上昇します。

呼吸、ストレス、食生活、運動など生活習慣により、高血糖、インスリン抵抗性、肥満、酸化ストレス、慢性炎症の一連の病態が生じてしまうのは、ホメオスタシスにより調整された結果であり、それが生活習慣病や老化となって現れています。

 

酸素はすぐに燃え上ってしまう不安定な性質を持っています。

そのような物質を安全に利用するために、私たちの細胞内にはミトコンドリアという共生進化した小器官があります。

私たちはミトコンドリアの好気性呼吸によるエネルギー代謝によって、嫌気性代謝(解糖系)とは比べものにならない莫大なエネルギー(ATP)を手に入れることができました。

しかし同時に、酸素によって私たち自身が傷つけられる危険性もあるのです。

 

動的平衡

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私たちが生命を維持していくために、ホメオスタシス(恒常性維持)によって、体内をある一定の範囲内に保ち続けることが重要です。

そのため脳は体内の状態をモニターして、神経系や内分泌系(ホルモン)によって、動的にコントロールし続けています。

私たちは生命維持するためには、エネルギー(ATP)を産生することが必要であり、糖質や脂質などのエネルギー源となる栄養素と、それを効率よく代謝するために酸素が必要となります。

ところが、たくさん食べてたっぷり栄養素を摂取したとしても、ある程度しか備蓄できず、逆に過剰な栄養素によって糖毒性・脂肪毒性を起こして、様々な生活習慣病など慢性疾患の原因となっています。

 

過剰な栄養素による弊害については、関連記事をご参照ください ↓

「酸化ストレス」エネルギー代謝とホメオスタシス

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たくさん呼吸をして、空気をいっぱい吸い込めば、細胞にたくさん酸素が届けられるかといえば、実はそうではありません。

過剰な酸素もまた「酸化ストレス」となって、私たちを傷つけ様々な疾患を生み出す原因となっています。

 

植物は太陽光のエネルギーを利用して(光合成)、二酸化炭素と水からブドウ糖をつくって、空気中に酸素を吐き出します。

私たちは直接植物を食べたり、植物を食べた動物を食べることによって、ブドウ糖を摂取して、空気中の酸素を使って代謝を行い、二酸化炭素と水を生成します。

私たちの生命とは、常に外部環境とのつながり(循環)の中で、動的平衡が保たれることにあります。

この循環の中、適度な範囲で私たちの体に酸素や栄養素が存在するように、ホメオスタシス(恒常性維持)が働いているのです。

 

地球の自転のリズムと体内時計によるホルモン分泌については、関連記事をご参照ください ↓

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活性酸素

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活性酸素とは

活性酸素とは、空気中の酸素がより反応性の高い化合物に変化したものの総称で、スーパーオキサイド、ヒドロキシラジカル、過酸化水素、一重項酸素の4種類があります。

 

ミトコンドリア内で行うTCAサイクルでは、酸素を使って代謝を行って、エネルギーの元となる電子が発生します。この電子はミトコンドリア内の電子伝達系という反応によって、ATPというエネルギーに変換されます。

酸化とは水素あるいは電子を失うことであり、還元とは水素あるいは電子を獲得することです。

生体ではこのような酸化還元反応によって、エネルギー代謝が行われています。

 

通常、空気中にある酸素は、三重項酸素で反応性が低く安定しています。生体内で酸素を利用するときは、反応性が高い一重項酸素という形にして利用されます。これが活性酸素と呼ばれるものです。

ほとんどの酸素は、ミトコンドリアのエネルギー代謝の酸化反応に利用され、水となっていきます。

 

活性酸素は高い反応活性を持つため、白血球などの好中球やマクロファージが体内の異物(微生物)を取り込み分解するのに、この活性酸素を利用しています。

 

ボーア効果

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呼吸で取り入れた酸素は、肺胞から血液中に吸収されて、ヘモグロビンと結びついて全身の組織に運ばれていきます。

パルスオキシメーターで測定できる血中酸素飽和度は、血液中のヘモグロビンの何%が酸素と結び付いているかを示す数値で、通常96-99%くらいで推移しています。

普通、呼吸を繰り返してたくさん空気を吸い込んでも、ヘモグロビンが組織や細胞に届ける酸素の量は増えないのです。

 

血液によって各組織にたどり着いたヘモグロビンは、酸素を切り離す形で細胞に酸素を渡し、代わりに代謝によって発生した二酸化炭素を受け取ります。

細胞に酸素が届けられる時に、ヘモグロビンから酸素を切り離すためには、実は二酸化炭素が必要なのです。

細胞内の二酸化炭素の量が多ければ、ヘモグロビンは酸素を切り離しやすくなります。これはボーア効果と呼ばれています。

 

ボーア効果とは

ボーア効果とは、血液内の二酸化炭素量の変化により赤血球内のpHが変化して、ヘモグロビンの酸素解離曲線が移動することです。

赤血球に取り込まれた二酸化炭素と水は、炭酸脱水酵素により重炭酸イオンとプロトンに解離され、赤血球内のpHが低下します。それによってヘモグロビンの酸素親和性が低下し、ヘモグロビンは酸素を解離しやすくなります。

またヘモグロビンの酸素解離は、温度影響も受けます。温度上昇によって末梢で酸素を解離しやすくなり、温度低下によって、酸素と結合しやすくなります。

 

ミトコンドリアで内呼吸(細胞呼吸)が行われて、TCAサイクルによるエネルギー代謝が回り、二酸化炭素がつくられていることが重要となります。

 

ミトコンドリアでのエネルギー代謝については、関連記事をご参照ください ↓

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呼吸・内呼吸については、関連記事をご参照ください ↓

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ミトコンドリアでの内呼吸が行われない場合には、嫌気性代謝である解糖系でのエネルギー産生となり、最終的に乳酸が生成します。酸素による燃焼が行われない為、二酸化炭素は生成されません。

いくら血液中に酸素があっても、ミトコンドリアでのエネルギー代謝が回っていない組織や細胞には、酸素が届けられないようになっているのです。

 

酸化ストレス (Oxidative Stress)

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酸化ストレスとは

私たちが呼吸で取り込んだ酸素は、ミトコンドリアでのエネルギー代謝に用いられたり、活性酸素となって免疫機能や感染防御といった人体にとって重要な働きを担っています。

ところが、わずか数パーセントの活性酸素は体内組織と反応して、酸化・変性を起こしてしまいます。

そのため私たちは、過剰に生成した活性酸素をうまく除去するシステムを持っています。カタラーゼ、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、ペルオキシダーゼなど、活性酸素を除去する酵素があります。

 

酵素で分解しきれない余分な活性酸素は、非特異的な反応性の高さにより、体の細胞を傷つけ、過酸化物質を生成して、癌や生活習慣病・老化など、様々な病気の原因になっています。

酸化ストレスとは、活性酸素の産生と酸化防御する酵素システムのバランスが崩れ、過剰な活性酸素により有害性を示すことです。

 

酸化ストレスの原因

ストレスにより交感神経が過緊張する状態では、高血糖となり解糖系による嫌気性代謝が行われます。

ストレスと自律神経の関係については、関連記事をご参照ください ↓

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ミトコンドリアでの内呼吸によるエネルギー代謝が回っていない状態では、エネルギー(ATP)の産生不足により、ミトコンドリアの機能低下を起こしてしまいます。

そのような状態で外呼吸過多になると、酸素がミトコンドリアでのエネルギー代謝に利用されず、それが活性酸素となって体内組織や体内物質と反応してしまう酸化ストレスが上昇します。

 

ミトコンドリアが機能しないと、オートファジーによる細胞の掃除ができずに、細胞の新陳代謝が低下します。

また、糖質や脂質代謝(酸化による燃焼)が行えず、体内脂肪を増やして、それらが慢性炎症につながっていきます。

 

ミトコンドリアのオートファジーについては、関連記事をご参照ください ↓

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肥満よる慢性炎症については。関連記事をご参照ください ↓

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ミトコンドリアでの酸素による栄養素の完全燃焼が行われないと、生体内ではマクロファージによる活性酸素を使った酸化ストレスによる慢性炎症を引き起こし、様々な疾生活習慣病や老化の原因になっていきます

 

酸化ストレスや慢性炎症は、ホメオスタシス(恒常性維持)によって起こっている現象の1つなのです。

 

マクロファージと免疫力については、関連記事をご参照ください ↓

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まとめ

「酸化ストレス」エネルギー代謝とホメオスタシス

 

私たちのが生命を維持するためには、ミトコンドリアの内呼吸による酸素を利用したエネルギー代謝を回すことが非常に重要です。

これによって、たくさんのエネルギー(ATP)が産生されて、細胞の新陳代謝など様々な生命活動を支えています。

 

体内の酸素や二酸化炭素の濃度も、動的平衡により調整されています。

糖質や脂質などの栄養素が、酸素を使った内呼吸によって完全燃焼されることで、二酸化炭素と水が生成されます。これによって、外部環境から酸素を取り入れるための循環(つながり)が生まれています。

 

内呼吸が行われず、外呼吸だけを行うことにより、活性酸素による酸化ストレスが上昇します。

糖質や脂質などの栄養素が、ミトコンドリアでの酸化反応によって完全燃焼されずに、生体内に不要なものが溜まってくると、マクロファージは活性酸素を使った慢性炎症という「くすぶった炎症(燃焼)」を引き起こして、処理するようになります。

呼吸、ストレス、食生活、運動など生活習慣により、高血糖、インスリン抵抗性、肥満、酸化ストレス、慢性炎症の一連の病態が生じてしまうのも、ホメオスタシスにより調整された結果であり、それが生活習慣病や老化となって現れています。

 

 

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