「なぜ治らないのか?」自然治癒力の働きとは何か?

「なぜ治らないのか?」自然治癒力の働きとは何か?

「なぜ治らないのか?」自然治癒力の働きとは何か?

【この記事のまとめ】
私たちの多くは教育により機械論的な思考に慣れてしまいました。病気の症状をエラーと考え、それを取り除こうとしています。

病気の症状が治る場合と、治らない場合があります。自然治癒力が働くとはどういうことなのでしょうか?

生命とは何か?病気とは何か?自然治癒力とは何か?もう一度考え直す必要があります。

生命とはホメオスタシスにより、動的に安定した秩序ある一定の状態が保たれることです。

病気の症状とは、ホメオスタシスにより調整された結果の現れです。治る場合と治らない場合がありますが、どちらもホメオスタシスによる結果としての現れです。

辛い症状が現れている場合には、ある意味それは生命が示す警告(サイン)でもあります。

食事、呼吸、体の使い方、休息、そして外部環境、ストレスなど、日常生活で当たり前のことが、ホメオスタシスに大きな影響を与えています。

 

私たちには誰もが自然治癒力を持っているはずなのに、病気の症状が慢性化して、治らない場合がたくさんあります。

自然治癒力が弱くなったことが原因なのでしょうか?

 

そもそも自然治癒力とは何なのでしょうか?自然治癒力を高めるとはどういうことなのでしょうか?

 

私たちの多くは教育により、機械論的な思考で自分たちのことを認識しています。

身体を機械のような部品の集合体と考え、皮膚に閉ざされた内部が自己であり、個として存在して生きていると考えています。

そのため本来はコントロールできないことを、コントロールしようとした時に、さらに問題が複雑化してしまっています。

生命とは何か?病気とは何か?もう一度考え直す必要があるのではないでしょうか?

 

ホメオスタシスによる動的平衡

「なぜ治らないのか?」自然治癒力の働きとは何か?

 

私たちが生きているということは?

恒常性が保たれること、すなわちホメオスタシスにより秩序ある一定の状態が保たれることです。

 

ホメオスタシスについては、関連記事をご参照ください ↓

【静的な健康】と【動的な健康】

私たちのは機械のような物質の存在ではありません。

絶えず分解と合成を繰り返しながら、身体としてある一定の秩序が保たれています。

それは流れの中に存在して、決して固定されることはありません。

静的に安定した状態ではなく、動的に安定した状態が、私たちの生命なのです。

 

外部から酸素や食べ物を取り入れ、二酸化炭素や老廃物を排泄して、大きな循環の流れの中に存在します。

古くなった細胞は壊して捨て去られ、新しい細胞につくりかえられ、新陳代謝が行われ続けています。

私たちが食物としているものは、消化により分解され吸収されて、私たちの身体の一部に置き換えられます。

 

人体だけで消化吸収ができる仕組みではなく、常在菌と呼ばれている微生物が共生して連動することで、そのシステムが完結するようになっています。

共生する細菌などの微生物の構成分布も、常に変化して固定されることがありません。

恒常性を維持するためのシステムとして、人体も微生物も一体として存在しているからです。

 

マイクロバイオーム(細菌叢)との共生については、関連記事をご参照ください ↓

腸内細菌叢(マイクロバイオーム)共生とエネルギー代謝制御 

 

環境の中に密度が高い分子が集まり、その相互作用する関係性により一定の秩序が保たれている状態が、生命を生み出しているのです。

 

生命場(ライフ・フィールド)

「なぜ治らないのか?」自然治癒力の働きとは何か?

 

生命は機械のような部品の総和ではなく、全体として動的に安定して、一定の秩序が保たれる状態であります。

そのため生命を扱う場合には、機械論ではなく全体論で考える必要があります。

 

全体論については、関連記事をご参照ください ↓

「要素還元主義による単一病因論」ピロリ菌は胃癌の原因なのか?

私たちの肉体を構成する分子や細胞は、絶え間なく壊れ去って、食物などを分解して吸収された素材によって、新たに再生されていきます。

絶えず分解と合成を繰り返して新陳代謝を通して、体を構成する物質は入れ替わり続けます。

1年もすればほとんどの細胞が入れ替わっているはずなのに、肉体がほぼ過去と同じ姿を保っていられるのは、なぜでしょうか?

 

生命場(ライフ・フィールド)と呼ばれる、生命を形づくる鋳型のようなものが存在すると考えられました。

私たちの身体のパーツとパーツの間には空間があり、そこには情報とエネルギーが絶えずやり取りされています。

そこには周波数の高い電磁場が存在しています。

要素と要素の間で起こる相互作用としての関係性が、場を形成してホメオスタシスを働かせているのです。

生活する環境の場や、共生する人や他の生物の生命場と、絶えず交わり影響を受けながら、私たちは生きています。

 

生体電気と生命システムについては、関連記事をご参照ください ↓

生体電気と生命システム

膜電位による電磁場の形成については、関連記事をご参照ください ↓

「生命と電気エネルギー」膜電位とATP

 

生命場の形成に関与していると考えられるのが、細胞外マトリックスです。

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細胞外マトリックスとスローエイジング

病気とは何だろうか?

「なぜ治らないのか?」自然治癒力の働きとは何か?

 

時間を止めて見たときに、人間の身体は機械のように見えてしまいます。

都合の悪い普段ない症状が現れると、それを異常(エラー)と考えて、病気の症状として認識します。

しかしこれは、機械論で考えた概念でしかありません。

病気の症状と捉えているのは、ホメオスタシスにより調整された状態です。

一時的な平衡状態は、やがて元の平衡状態に戻っていきます。

それが自然治癒と呼ばれる現象です。

 

西洋医学の特徴、機械論については、関連記事をご参照ください ↓

「原因不明の痛みや不調」検査で異常なしとは?

体のすべてのパーツが存在しても、やがて私たちは死を迎えます。

私たちは外的要因・内的要因の変化に対応しながら、ある一定の状態を保ち続けています。

一定の秩序ある状態が保てなくることが死と考えられます。

 

エントロピーと生命については、関連記事をご参照ください ↓

「デトックス」エントロピーと生命のつながり

慢性病が治らないのはなぜ?

「なぜ治らないのか?」自然治癒力の働きとは何か?

 

なぜ何年も慢性的な症状が続いて、治らないことがあるのでしょうか?

慢性化されて症状が続く場合は、ホメオスタシスにより元の状態とは違う平衡状態が保たれているからです。

 

これを病気の症状と捉えることは、機械論的な思考による弊害でしかありません。

 

すべての構成要素は一対多の相互関係でつながり、平衡状態が保たれています。

ある時点でみた時には、ある要素と要素に因果関係が存在するように見える場合があります。

しかし、他の要素が変化した場合には、その関係性はまた別の平衡状態へとすぐ変化していきます。

 

つまり生命のような複雑系においては、一対一の因果関係による、原因と結果の法則は当てはまらないのです。

一部の症状から単一病因を考え、単一の有効成分である薬でコントロールし続けることは、大きな勘違いと言わざるを得ません。

 

要素還元主義による単一病因論については、関連記事をご参照ください ↓

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「動脈硬化の真の原因」コレステロールではなく脂肪酸

本来医療とは、平衡状態の閾値を超えて生命維持することが難しくなった場合に、一時的に介入して救急処置することでホメオスタシスを回復させることにあります。

薬を服用し続けて身体に作用させ続けるという行為は、身体がさらにその作用に対してバランスを調整して、本来とは異なる平衡状態をつくりだすことになります。

 

気付くことから始める

「なぜ治らないのか?」自然治癒力の働きとは何か?

 

私たちは身を置く環境の場に影響を受け、まわりで共生する人々との関係性にも影響を受けています。

ストレスを受け続けると、生命維持のための防御反応が働き続けることになります。

外部から摂取したものを、分解吸収して私たちの身体の一部分に同化させて、絶えず新陳代謝を繰り返しています。

古くなった細胞を壊して老廃物として、外部に排泄して、体内の秩序を保ち続ける必要があります。

 

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食事、呼吸、体の使い方、休息、睡眠、そして外部環境、人間関係、ストレスなど、日常生活で当たり前のことが、ホメオスタシスに大きな影響を与えています。

 

もし慢性的な症状で困っている場合には、まずは生活の中での当たり前の事に目を向け、それに気付くことが大切です。

痛みや不調など、辛い症状が現れている場合には、ある意味それは生命が示す警告(サイン)でもあります。

 

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まとめ

「なぜ治らないのか?」自然治癒力の働きとは何か?

 

私たちの身体は、絶えず分解と合成を繰り返しながら、ある一定の秩序が保たれています。動的に安定した状態が生きているということです。

ところが私たちは機械論的な思考により、今までになかった不都合な症状が現れると、身体の異常(エラー)と捉えて治そうと考てしまいます。

一時的にすぐに元の状態に戻る場合と、そのまま症状が持続する場合があります。

言い換えると、治る場合と治らない場合がありますが、どちらもホメオスタシスによる結果としての現象です。

 

生命のような複雑系においては、ある症状が単一病因によると考えることは大きな間違いです。

ましてそれを単一因子でコントロールしようとすることは、大きな勘違いと言わざるを得ません。

日常生活での当たり前のことに目を向け、ホメオスタシスへの影響に気付くことが大切です。

 

 

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